着物や浴衣は、洋服とは作りが大きく異なるので、いざ着てみると動く際に違和感があったりしますよね。
着物や浴衣をあまり着たことがない人が、洋服の時と同じ動作で過ごしていると、着崩れを起こしてしまう可能性があります。
しかし、少しコツを覚えれば美しい着姿を長時間保つことができます。
この記事では、「着姿が綺麗に見える歩き方」や「観光しても疲れない歩き方」など、着物や浴衣を着ているときの歩き方や座り方、立ち方のポイントをご紹介します。
目次
着物・浴衣を着ている際は、以下のポイントに気をつけて歩きましょう。
以上のコツを押さえて歩けば、着物や浴衣を着ている際の美しい歩き姿を演出することができます。
また、着物・浴衣にあった歩き方をすれば足も疲れにくく、着崩れもしにくくなります。
以下ではそれぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
着物や浴衣を着て歩く際に一番気をつけたいポイントは「ガニ股にならないこと」です。
着物や浴衣は、歩くときに足のラインが出やすいため、ガニ股で歩くと歩き姿が美しくありません。
また、着物や浴衣は巻きスカートのような構造になっているため、内股ぎみに歩くと裾捌きがよく歩きやすくなります。
そのため、つま先は少し内股ぎみ、もしくはまっすぐ正面を向くように意識しましょう。
歩く際の歩幅は、10センチほどで意識して歩くとよいでしょう。
「歩幅が10センチだと狭すぎるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歩幅が大きくなると着物や浴衣の裾が足に絡まって歩きづらくなります。
歩幅を小さくし、後ろ足のひざの裏側を伸ばすようにして歩きましょう。
足の指に力を入れて、草履や下駄の鼻緒を掴むようにして歩くと、大きな音を立てずに上品に歩けます。
着物や浴衣は下半身の部分が巻きスカートのようになっていますが、一番外側にくる布の部分を「上前」といいます。
手で上前を軽くおさえながら歩くと、歩く際に裾が大きくめくりあがらずに美しく歩けます。
可能であれば、荷物は左手に持ちながら、右手で上前を押さえつつ歩くとよいでしょう。
着物や浴衣は、地肌を見せないようにするのがマナーとなっているため、足首が見えないようになるべく裾がめくりあがらないように歩くようにしましょう。
階段を上り下りする際は、1つ前の項目で書いた上前を押さえている手でそのまま裾を少し持ち上げるとよいでしょう。
裾を持ち上げる際は、肌見えしないように、足首が見えない程度に持ち上げましょう。
裾を少し持ち上げるだけで階段の上り下りはしやすくなりますが、急な階段や大きい段差を上り下りする際は、少し体を斜めにしながら、裾を少し持ち上げると動きやすくなります。
草履で足が疲れてしまう際の主な原因は靴擦れならぬ「鼻緒ズレ」がほとんどです。
鼻緒ズレを防ぐために草履は少し内股になるように斜めに履くとよいでしょう。
草履は、靴底部分の中心に穴が開けられているのでまっすぐに履くと、鼻緒が指の間が当たり擦れてしまいます。
そのため草履の中心線から少しずらし、草履のかかとを少し内側にして斜めになるように履くと鼻緒ズレを防ぐことができます。
雨の日に着物や浴衣を着る際は、より一層歩き方に気をつけましょう。
雨の日は地面の泥が跳ねやすく、裾が地面に近い着物や浴衣は泥で汚れやすくなります。
雨の日の歩き方は、足の指で地面を押すことを意識するように歩きましょう。
がに股や極端な内股で歩くと泥はねが起こりやすくなるので注意が必要です。
着物や浴衣を着ている際は、時間にゆとりを持って行動するのが一番ですが、予定通りにいかないこともあるかと思います。
着物や浴衣を着ている際に急いで移動したい場合は、必ず小股で小走りするようにしましょう。
左右のふとももが離れないように、膝同士を近づけたまま小走りするような感覚です。
足を動かす際には重心はすべて前足にかけずに後足にも残しつつ、お尻を突き出さない様に腰を落としながら踏み出すとよいでしょう。
着物や浴衣を着ておでかけするならば、たくさん写真を撮りたいですよね。
せっかく写真を撮るならば、着姿が美しく見える立ち方で写ると、よりよい写真になること間違いありません。
着物や浴衣で立っているときは、つまさきが開かないように内股ぎみに立ち、片足を少し後ろに引きましょう。
姿勢は、頭の先から糸で吊られているように意識して、背筋をピンと伸ばします。
両腕は体の正面で自然に重ねると上品な雰囲気を演出できます。
また、タクシーを呼び止めたりする際に手を上げる時は、二の腕が見えないよう肩より下で袖口を押さえると肌見えが最小限になります。
それでは、着物や浴衣を着ている際の座り姿はどんな部分に気を付けるとよいのでしょうか?
座るといっても、椅子に座ったり、お寺や食事処の座敷で正座をしたり、バスやタクシーの座席に座ったりといろいろな場面があると思います。
座るという動作は、体全体が大きく動くため、動き方によっては大きく着崩れする原因になります。
また、普段の洋服よりも足回りの動きが制限されるため、いつものように座ろうとするとかえって疲れてしまうかもしれません。
以下では、それぞれのシーンにあわせた美しい座り方のコツを解説します。
着物や浴衣を着たときの椅子への座り方は以下の通りです。
後ろの裾が地面に付かないように、上前を少し引き上げてから座るようにします。
座ったあとは少しひざの裏に生地を入れ込むようにしましょう。
また、椅子に座る際に気を付ける大事なポイントは「浅めに座ること」です。
着物や浴衣を着て座るときは、背中の帯結びがつぶれてしまわないように、椅子にもたれず浅めに座ります。
椅子に深く座ってしまうと、椅子との着物・浴衣の接地面が多くなるため、着物が腰のあたりから下がってきて着崩れを起こす可能性があります。
また、椅子に座った後は足を開いたり、足をブラブラさせたりするのはやめておきましょう。
背筋を伸ばし手は膝の上に重ね、足は閉じて揃えて座ると上品な座り姿になりますよ。
着物や浴衣を着たときに正座をする手順は以下の通りです。
上記の手順で正座をすると、膝から上に余裕ができるため、座った時に着物や浴衣が引っ張られることがなくなります。
そのため、着崩れもしにくく、疲れにくい体制で正座をすることができます。
着物や浴衣を着たときに車の乗り降りをする際は以下の手順で行いましょう。
降りるときは、乗るときと逆の手順で行い、車外できものの裾や帯の乱れがないかを確認するとよいでしょう。
車の乗り降りするときに着崩れを防ぎながら、美しく座るための大事なポイントは「お尻から座る」ことです。
頭や足から車にのってしまうと、バランスが悪く着物や浴衣の裾を踏んでしまったり、着崩れを起こしてしまう可能性があります。
いかがでしたでしょうか?
せっかく素敵な着物や浴衣を着ているのですから、着姿や所作も美しくありたいですよね。
着物や浴衣を着ている際の動作は、少しのコツを意識するだけで、着崩れしにくくなりますし、着姿もぐんと美しくなります。
みなさんも、着物や浴衣をレンタルして観光したりする際は、ぜひ参考にしてみてくださいね。